活動紹介

1、タイ/ミャンマー国境難民・移民への医療支援
2、医療人材派遣と技術支援
3、院内感染対策と啓発活動
4、移民学校での保健活動
5、医療物資・設備投資
6、緊急支援活動
7、日本国内活動

1、タイ/ミャンマー国境難民・移民への医療支援

 メータオ・クリニック支援の会では、医療従事者を現地へ派遣し、メータオ・クリニックでの病棟勤務を通じて専門分野を活かした技術支援や、院内感染予防対策を中心とした施設・設備の改善をおこなっています。更に、タイ・ターク県の70校ほどの移民学校にて、クリニックと共同で学校保健プロジェクトを実施するなど、難民・移民の保健・医療に対する支援を行っています。

 また、毎年スタディーツアーを開催するなど、現地訪問者の受け入れを行っています。日本国内でも、月に一度の会報配信、総会や現地スタッフの報告会・勉強会、イベントの開催、グローバルフェスタへの出展など、ミャンマーでの支援を求める難民・移民をより多くの方々に知って頂けるよう、広報活動にも力を入れています。

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写真:渋谷敦志


2、医療人材派遣と技術支援

 医師、看護師などの医療従事者をメータオ・クリニックへ派遣しています。派遣員の任期は1~2年間。クリニックスタッフとともに働く中で、課題を見つけ、それぞれの得意分野を生かしながら様々な活動に取り組んでいます。

歴代派遣員

第一代 2007年度 梶藍子看護師 (内科病棟) ⇒現地スタッフ帰国報告(梶)

第二代 2009年度 田辺文医師 (外科病棟) ⇒現地スタッフ帰国報告(田辺)

第三代 2011年度 前川由佳看護師 (外科病棟)

第四代 2012年度 田畑彩生看護師 (外科病棟、学校保健・地域保健部門)

第五代 2013年度 鈴木みどり看護師 (内科病棟、学校保健・地域保健部門))

第六代 2015年度 神谷友子看護師 (小児科病棟)

第七代 2017年度 齊藤つばさ看護師 (外科病棟)

第八代 2020年度 有高奈々絵医師 (内科病棟)

活動概要

2009年度:
医療とサービスの質向上委員会に病棟の代表として参加し整形外科分野での技術指導を行いました。また、前年度の手術成績の分析を報告書として提出、正確な現状の把握と医療の質向上に取り組みました。

2011年度:
外科処置が衛生的とは言い難い環境の中で行われていたことから、これら外科処置の手順を評価、問題点を抽出しより衛生的で適した処置手順となるように、滅菌処置セットの作成、使用方法の指導と運用のシステム化を実現させました。

2012年度:
糖尿病の専門知識を生かしたフットケア指導を行いました。デング熱地域予防啓発事業を行いました。

2013年度:
外科病棟における滅菌ガーゼの運用見直しを行いました。より滅菌を維持した状態でガーゼが使用できるように外科スタッフと検討会を開催。それまで使用されていた紙包装滅菌ガーゼからトレイを用いた滅菌ガーゼセットに変更しました。

2014年度:
内科病棟を中心に褥瘡予防のためのスキンチェック、手洗い時の手拭きタオルの導入を行うなど、看護ケアの導入に取り組みました。

2015年度:
看護スタッフ育成トレーニングがが開始され、理論・実技・実践の指導や助言を行いました。5Sを取り入れた、医療資材の管理。看護記録と申し送りの質の向上を図りました。

2017年度:
手術室勤務の経験を活かし、滅菌操作や創傷処置の介助について勉強会を通して外科病棟の看護スタッフへ介入しました。看護スタッフに全体に対して、看護手順書の作成、看護技術の指導を海外ボランティアと共に行いました。

2021年度:
内科医としての経験を活かし、診療体制の拡充、新型コロナウイルスを含む感染症の院内感染対策を充実を目指しています。

 また、現地スタッフのニーズに即した勉強会を開催し、スタッフの更なる知識と技術の向上に努めています。

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現地からのレポート
これまでに派遣した現地スタッフによる活動レポート(ブログ)です。
⇒今日のメータオ – 2008年度の現地スタッフによるメータオ・クリニック活動レポート(ブログ)


3、院内感染対策と啓発活動

~きれいなクリニックづくり~
メータオ・クリニックを受診する患者さんは、一般的に栄養状態が理想的とは言えず、感染症をうつされやすい状態の方が多くいます。かつ、クリニックには、マラリア、HIV/AIDS、インフルエンザ、結核等、感染性疾患を持つ患者さんも多くいます。

 そのため、患者間、さらにはクリニックで働くスタッフへの院内感染のリスクが高く、その軽減のため、2005 年に院内感染予防チーム(Infection Control Team : ICT)が結成されました。派遣スタッフはICTにアドバイザーとして参加し、現地メンバーと共に、院内ラウンドチェックと必要な設備の補充、院内感染ワークショップの開催、ポスター設置での患者さんも含めた院内感染予防の啓蒙活動などを行っています。

通年 :
・結核用患者マスクの提供 (日本国際協力システム他)

2008年度:
・手洗い場増設を含んだ内科病棟改修

2009年度:
・クリニック内で使用するガーゼやコットン、様々な医療器械の滅菌と管理を行う
・IPU(Infection Prevention Unit)の立ち上げ
・滅菌器の提供

2010年度:
・感染症隔離病棟の設営(大阪コミュニティー財団:ストリートチルドレン等救済基金)

2011年度:
・手洗い場の整備および手洗い推進キャンペーン(みつばち倶楽部)

2012年度:
・二次感染予防のためのご遺体安置所の整備とご遺体保管庫の提供(Azbilみつばち倶楽部)

2013年度:
・手指衛生ガイドラインの作成
・手指衛生のタイミンングを示した手指衛生啓蒙ポスター(WHO 5 moment for hand hygiene)、
・アルコールボトルの増設 (日本国際協力システム)
・院内で使用している塩素消毒薬の効果確保を目的とした塩素濃度測定器の提供および指導(azbilみつばち倶楽部)

2014年度:
・院内使用消毒薬の見直し
・院内感染対策に関する予防会議や啓蒙

2015年度:
・手洗いチェッカーおよびマスクの寄付(azbilみつばち倶楽部)

2016年度:
・新病院の衛生維持管理;院内ごみ箱の設置
・小児科病棟への患者病衣の導入

2017年度:
・5Sに関する研修
・5S実施のフォローアップ

~メータオ・クリニックのための啓発活動・技術協力・人材育成~

2017年度:
・ベッドサイドケア指導
・清潔ケアの方法の指導
・看護スタッフの育成

2018年度:
・看護スタッフ研修のカリキュラム作成
・看護アセスメント・申し送りへの助言

2019年度:
・看護技術手順書の作成
・看護スーパーバイザー育成研修の実施
・アセスメントシート、技術チェックリストの改善・実施

2020年度:
・病棟でのケア、サポート


4、移民学校での保健活動

~きれいな学校づくり~
タイ・ターク県には、ビルマ/ミャンマー移民の子どものための学校が70校ほどあります。派遣スタッフはメータオ・クリニック学校保健チームのメンバーとしても活動しています。学校保健チームとともに移民学校にて、半年毎のビタミンA投与、害虫駆除剤の投与、眼科検診、健康教育を行っています。更に、学校の先生のために、手洗いや歯磨き等の衛生の啓蒙活動、害虫駆除、ビタミンA投与の必要性、児童の急変時の看護、処置等のトレーニングが行われています。

 メータオ・クリニックは従前から学校保健支援を行っていましたが、体系的な評価や支援は行われておりませんでした。そこで、2008年メータオ・クリニック支援の会は、クリニックと共同で学校保健プロジェクトを開始しました。毎年、全移民学校にて学校保健評価を実施、優秀校の表彰式を通じて学校保健改善の動機づけを行うとともに、国際NGOや現地コミュニティー組織と学校保健改善の評価を共有しています。これらは支援の参考となり、各移民学校の衛生状況を把握、安定したサービスを提供するための支援団体へのアプローチとしても活用されています。必要な設備を整えるきっかけともなっています。

 また、寄宿舎にて生活する思春期の学生を対象としたメンタルヘルス活動として、サッカーや音楽授業などの課外活動の充実にも取り組んでいます。2013年度より開催しているタイ学校と移民学校の合同演奏会は、精神的ケアの一環としてだけでなく、移民学校のタイ社会への融合という点において、大きな架け橋となっています。、その他、移民学校全生徒を対象とした栄養調査をおこなったり、劣悪な環境である移民学校の校舎を建て替えるなどの活動も行っています。

2009年度:
・Hope Learning Center 改修工事および机寄附

2010年度:
・移民学校CDC校にて音楽部の結成

2011年度:
・Hope Learning Center 新校舎建設(敷島製パン労働組合)

2012年度:
・サッカーや音楽授業などの課外活動の導入(今井海外協力基金)
・Hope Learning Center トイレ、手洗い場の増改築(敷島製パン労働組合)

2013年度:
・New Road Migrant Learning Center トイレ建設(敷島製パン労働組合)
・タイ学校と移民学校の音楽交流事業、合同演奏会の実施(今井海外協力基金)

2014年度:
・デング熱キャンペーン
地域保健部門のスタッフと共にハイリスクスポットへの巡回
移民学生による地域巡回
・タイ学校と移民学校の音楽交流事業
・栄養改善プロジェクト(公益財団法人 公益推進協会・夢屋基金)
・移民学校緑化運動事業支援

2015年度:
・デング熱の予防啓発
・移民学校の衛生環境整備および校舎の改修
・タイ学校と移民学校の音楽交流事業
・栄養改善プロジェクト(公益財団法人 公益推進協会・夢屋基金)

2016年度:
・タイ学校と移民学校の音楽交流事業

2017年度:
・薬剤管理のための棚の寄付
・プラスチックトロンボーン寄付(武里サニーサイド他)

2018年度:
・Hope Learing Center 故障した浄水器の支援

2019年度:
・移民学校支援対象校の衛生環境の改善事業への支援


5、医療物資・設備投資

 毎年、皆様からご支援頂いた、古着・玩具・文房具・医療器械(手術用鋏、鉗子類)は、スタディーツアーやJAMメンバー現地視察時に運びメータオ・クリニックへ直接支援しています。その他にも、寄附や賛助会員費を積み立てより、現地のニーズにあった物資・設備支援をおこなっています。

これまでにご支援いただいた物資

2009年:
・車椅子(日本社会福祉弘済会の事業「空飛ぶ車椅子」)

2011年:
・聴診器、酸素流量計等医療器具(みつばち倶楽部)

2012年:
・手拭き用タオル(azbilみつばち倶楽部)
・リコーダーとトランペット

2013年:
・酸素担架(azbilみつばち倶楽部)
・子ども服
・食器洗い用スポンジ

2014年:
・移民学童のための通学カバン
・酸素架台の提供

2015年:
・患者病衣(azbilみつばち倶楽部)
・移民学童のための通学カバン(一澤信三郎帆布)
・体重計、文具など

2016年:
・移民学童のための通学カバン(一澤信三郎帆布)
・歯ブラシ(きぼうのいえ)
・古着、タオル(NPO法人訪問看護ステーションコスモス)
・ソーラーランタン(FAIRROAD)

2017年:
・枕、枕カバー、ベッドシーツ(あんのん基金)
・エアーマットレス、看護演習モデル、手拭きタオル、高圧滅菌機その他医療機材の購入(クラウドファンディング)
・備品整理用の棚(西日本国際財団)

2018年:
・高圧滅菌機の修理

2019年度:
・学生・スタッフの送迎用車両の支援(真如苑)


6、緊急支援活動

 周囲の様々な変化を受けて、緊急的な困難を抱えることも多いメータオ・クリニック。その時々の支援要請を日本で発信、日本からの緊急支援をメータオ・クリニックへ届けています。

2010年度:
・総選挙後に起きた反政府軍と国軍との戦闘によってタイ側へと多数流入した避難民への緊急援助 1,151,421円

2011年度:
・避難児童のための緊急援助 46,000円

2012年度:
・メータオ・クリニック資金難への緊急援助 528,790円

2013年度:
・メータオ・クリニックパートナー団体ビルマ子ども医療基金(Burma Children Medical Fund)への緊急支援275,000円
・移民学生寄宿舎火災に対しての緊急支援 100,000円

2015年度:
・ミャンマーにおける洪水被害に対する緊急支援 120,075円

2019年度:
・COVID-19の緊急必要物資の支援(N95マスク、エプロンなどの防護具やフェイスシールド作製用材料など)

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