いつもご支援ありがとうございます。
まだまだ、東ミャンマーの状況は良くならず、メソトでのコロナの影響も大きい日々が続いています。
グローバルフェスタに伴い、初めてJAMのホームページをご覧になる方もいらっしゃると思いますので、
8月号の会報から一部抜粋して、お送りいたします。
現地派遣員 有高より
メソトでも 6 月末にミャンマー人工場労働者の間で 500 人規模のクラスターが報告されたのを皮切りに、現在までに 3000 人を超えるCOVID-19の感染者が見つかっています。
メータオ・クリニックは、タイ保健省からの依頼で当初から公式の野戦病院となり、無症状のミャンマー人労働者 60 人以上の入院を受け入れました。
しかし、7 月上旬にスタッフ 1名に感染が判明、その後、全スタッフ、同居家族、周囲のコミュニティで接触が疑われる人々計 774 名の検査を行ったところ、
209 人の陽性者が判明しました。
この事態を受けて 7月 16 日からメータオ・クリニックのほとんどの診療機能は一旦停止され、今もクリニック内の多くの建物で陽性者の隔離、濃厚接触者の検疫が行われています。
過去に経験がないであろう非常事態の中で、検査で陰性だったスタッフがクリニックに泊まり込んで陽性者の診療に当たり、非医療スタッフも食事の準備など後方支援を行っています。
幸い現在まで死者は報告されていませんが、新型コロナウイルス感染症がタイで報告されてから 1 年半、全スタッフが感染予防の講習やトレーニングを受けてきたにも拘らず、院内感染を防げなかった事実はクリニックにとって大きな衝撃でした。
私も講習を行ったり、食事の場にせめてパーテイションを設置すべきと主張したりしてきましたが、入院患者に複数の家族がずっと付き添い、病院内でもみんなで食事するのが文化というお国柄の中、日本の常識は通用しません。
自分が院内感染の起きる直前に帰国しており、一番大変な時にクリニックにいられなかったことも含め、忸怩たる思いでいっぱいです。
感染者の増加を受けて 7 月下旬からメソト全体がロックダウンされ、食料を買う以外の外出が禁止される中、幸いなことにクリニックには周囲のコミュニティから続々と食料や寝具(ござ)が寄付されています。
クリニックの Facebook に投稿された多くの写真を見ると、メータオ・クリニックがいかにメソトの人々から愛され、支えられているかを実感し、スタッフも周囲のコミュニティも含めて私たちは家族のようなもの、というシンシア先生の言葉を思い出します。
そのコミュニティのためにもメータオ・クリニックが今回の出来事を乗り越え、より安全に医療を提供できる存在になることを期待して、私もそのために尽力したいと思います。
そしてミャンマーはクーデター後の混乱に加え、6 月中旬から新型コロナウイルスの感染者が激増し、今一番足りないのは棺桶、とまで言われる惨状となっています。
保健・スポーツ省は 8 月中旬現在、1 日の新規感染者数 3,500 人、死者数 200 人ほどと報告していますが、火葬場に運び込まれる遺体の数などから実際の死者数はこれを大幅に上回ると推測されます。
都市部の市民は軍政が酸素の供給を制限する中、感染しても入院できない家族のため酸素を求めて奔走し、市民的不服従により病院を離れた医療者が人々の家を訪問し、できる限りの治療を行っています。
現在 15 万人と言われる国内避難民の情報は限られますが、KawThooLei Department of Health and Welfare(KDHW)によると 8 月 10 日までにカレン州、モン州、バゴー地域、タニンダーリ地域で計 14,474 人の確定例、1,128 人の死亡例が報告されています。
直近の検査陽性率は 37%で、おそらくもっと検査をすればさらに多くの陽性者が発見されるはずですが、抗原検査キット、治療薬、酸素など何もかもが足りない状況とのことです。
JAM は東ミャンマー緊急支援として
6 月、7 月に 13 名の方から、234,500 円のご支援をいただきました。
ここに厚く御礼申し上げます。
いただいたご支援は 5 月に 100 万円を送金した際の残額 189,524 円、5 月分の 131,681 円と合わせ、まとまった額になり次第、第三弾としてメータオ・クリニックに送金する予定です。
日本も長引く新型コロナウイルス感染症の影響で大変な時期ではありますが、ミャンマーの窮状は比ぶべくもなく、今後ともメータオ・クリニックに温かいご支援のほど宜しくお願い申し上げます。
以上 JAM会報 127 号 2021 年 8 月発行より抜粋
賛助会員の方には、このような現地の状況・国内のイベントなどを書いた会報をお送りしています。